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湖上の美人終演

今年の特訓会、ロッシーニの「湖上の美人」終演しました。

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みんな今回は大変だった、難曲、大曲、と、出演者もお客様もおっしゃるのだけれど、確かにまあそうなんだけれど、慣れって怖い。私にとってエレナはそんなに過酷な役ではないし、飛び抜けて難しいわけでもない。個人的には、まあまあかな、ぐらい。当日の体調も、声の調子も、歌の出来もすべて「まあまあ」だった本番。背中の不安も少しあったから全開でぶっとばすわけにもいかず、エレナちゃんは可憐な子なので、そういうのはそんなにいらない(その写真のどこが可憐やねん、というツッコミはともかく)。


当日はリハをやめたので、やたら時間があった。朝発声せず、12時に入って調律確認後、設営もやってしまい、ピアニストさんとぐだぐだ過ごす。みんなが来てからスケールとスケールのアジリタをちょっとだけ、上と下だけチェック。調子は良くも悪くもなく、調律はエレナより若干軽めだけど、本番は力が入るからまあいいっか、程度。レチの確認を数ページ。これもまあまあ。

今回はいろいろな事情で、珍しいくらいに、ナーバスになっている人が多かった。私はわりと能天気。お手伝いの方と打ち合わせして雑談していたらお着替えの時間。結果的にほとんど歌ってない。もう開演やん、第一声私やん。

やっぱり一回本番やってる(ハイライトだけど)というのは、心に余裕があるかも。

本番だから、調子のいい人もいればイマイチな人も、上げてくる人もいる。声域をすごく使う役ばかりだから、ちょっとした調律のミスや体調不良が、意外なところで破綻を生んでしまう。うん、私自身も何度も経験ある。今の業界の専門用語でいくと、「リスク・アペタイト・フレームワーク」の問題。リスクをとらないのではなくて、コントロールの範囲をあらかじめ決めておいて、その範囲に制限する。リスクないところにリターンなし。特訓会だもの。でも、やっぱりセーフティーがあるに越したことはなくて、役を表現し歌い切るという「プリンシプルベース」で、捨てるところやリスクテイクしないところを作る、損切りする方法もいっぱい知っていた方がいい。それに、レチとか重唱とかで相手が歌いづらそうにしている時に、助けになる方法をもっとたくさん知っていれば、いいんだけど。

調律と言っているのは、筋肉の使い方や横隔膜の位置、ブレスの深さとかを調整して、音域を役に合わせにいくこと。あとは、どの音をどの声で歌うか、これは役や曲の組み立て、戦略や解釈の問題。

さて、みんなが大アリアを次々と歌っていく中、最後の最後までロンド・フィナーレが残っている。でもだいたいヒロインは最後に、死ぬ曲か喜ぶ曲、時々はブチ切れる曲を歌わされるもの。気持ち的にも、ハッピーエンドのほうが楽。自殺系はきつい。サフォーとかノルマとか。


会場は大きくなかったけれど、ほぼ満席で歌わせていただいて、楽しかったです。大半が音楽関係者かマニアなお客様だったかも。集客やる暇があったら練習するか休みたい、というのでPRもあまりできないし、席数管理もできてない。出たとこ勝負。でも湖上は好きな人が多いのかな。

エレナはやっぱり大好きな役で、また歌う機会があればいいなと思います。自分で企画しないとなさそうだし、またさらに5年後に…歌える気はしないですが。

さて、春の「特訓会」、来年は7年ぶりの清教徒。バカップル、ちょっとは成長したところを聞かせられるでしょうか。エルヴィーラもほんとにがんばって勉強した役なので、だいたい覚えているけれど、やっぱり体が変わっているぶんはなんとかしなきゃいけない。また1年、がんばります。

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