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アクセントとリズム

なやみどころ。

曲を勉強する時、だいたいはリズムを読んでから歌詞のアクセントをつけていくのですが、作曲の時代が現代に近くなればなるほど、この順番だとややこしくなっていきます。

だいたい、イタリアものの場合は、アクセントは強拍に付くので、この処理は例外的にやればいいだけ。ロッシーニとかはアジリタの中のアクセントを考える必要があるけれど、それも1ページに何箇所か。

でもフランスものの場合は、だいたい言語自体に強弱アクセントがないので、基本的には語頭(名詞形容詞動詞副詞)を強調、これは日本語と同じ。「ゆ」うやけ「こ」やけの「あ」か「と」んぼ。でもフランス語の場合リエゾンがあるので、この例だと「こ」やけ「な(N+ (Oは消える) +A)」かとんぼ、的な感じ。でも、なかとんぼって何やねん。とはならない。

んじゃ語頭がちゃんと強拍に来るかというと、これが来ない。むしろ来る方が珍しい。さらに、高音に来るかというと、ほぼ来ない。【「こ」|やけ↑】みたいに、何でもない母音が小節頭に来て、どうでもいい母音に高音が当たってる。

toi du *ber|ge---*r_astre | *dou-x_e*t(t)i|mide

Tu *bel | *l'astro al cui | *dol-ce ri|*flesso

これはロッシーニ(テル)で、フランス語からイタリア語に訳されているのだけれど、訳がちゃんと強拍に付けてあって、むしろ歌いやすい。でもイタリア語だと2、4小節目とかの、強勢が来ない、抜いた感じがないから、マティルドの嵐に吹き消されそうなはかない女心が、すごく強いキャラになってしまう。特に4小節目の頭は最高音なんだけれど、ここのニュアンスの処理が全く違うことになる。だから、同じ曲を違う言語で歌うのはとっても面倒。

今勉強しているラヴェル(シェエラザード)は、歌ってるんだけど喋ってるという感じ。ピアノが6/8で歌が2/4で、その中で2拍の三連符とか4連符とか、拍数もテンポもどんどん変わっていく。その、今何拍目にいるのか遭難しそうな状況の中に、このずれたアクセントを入れなければいけない、ということはある程度音符の長さは変わるわけで。

たとえば6/8の二つどりの1拍の真ん中に語頭があったとして、楽譜ヅラが0.33+0.33+0.33であって、0.25+0.5+0.25でない、ということは、0.3+0.38+0.32ぐらいにしておかないと、三連符に聞こえない。しかももし真ん中の語頭に子音があったら、その位置だけずらして母音は元のところに置いておく、ということもありうる。作曲者は頭の中の音楽をオタマジャクシにする時に、とっても妥協しているわけで、書いた人の頭の中の音楽を、譜面を手掛かりに想像する。

だいたい楽譜なんてもともとメモ程度のものなんだから、現代に近づくほど記譜が細かくなるのは、別に作曲家の頭の中が細かくなったんじゃなくて、出版とかコピーを通じて楽譜が一人歩きするようになったからだと思う。だから楽譜に正確に歌う、ということはあり得ない。あり得ないけど、譜読み自体は正確にしなきゃいけない。手掛かりはこれしかないんだから。

ということで、まだジグソーパズルの枠だけできたような状態で、何の絵なんだかさっぱりわからない。
はやくちゃんと歌えるようになりたい。

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