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熱闘「アジア」

シェエラザードの第1曲目。だけどラヴェルは、自分が指揮した時は3番目に演奏したらしい。

ベルナック先生のご本に解説があると教えてもらって、見てみたら、いきなり、「アジアをピアノ伴奏でやるとか、ありえないし、無理無理」ってなことが書いてありました。他の曲にも「ピアニストには最善を尽くしてもらいたい。。」とか。まあでもピアノを弾くのは私じゃないし、ピアノのことまで考える余裕はない。でも聞こえるはずの音があちこち、聞こえないからちょっと困る。

ラヴェルはかなり理系頭、メカニック好きな人だったらしくて、特に「アジア」は、作曲に向かない散文詩をなんとかしようと、なんというか山が高いから登るんだ、みたいに音楽にして、成功しちゃったという作品。詩人に何度も朗読させて作ったとのこと。なので、とにかく、とにかくキッチリリズム読みして、歌詞読みして、歌うのはそれから、というのが正しいラヴェルの歌いかた、らしい。

ただこのリズム読みが問題で、テンポと拍子がどんどん変わっていく中、6/8の6拍を四分割するんだ、ってわかっていても、体が2/4で感じていると、1拍のサイズがわからなくなる。しかもフランス語の語頭は全く関係ないところにある。言葉を立てようとすると、全く別のことをやってるピアノとずれる。

かといって発声的にも当然、簡単なわけじゃない。ブレスコントロールの難易度も高いし、基本的にレガートピアニシモだけれど、詩の内容で、唐突に強い音がくる。特に(ソプラノの)低声にアクセントやフォルテが来る箇所は、やっぱり気を使う。

簡単にやりたい、って言っちゃいけない曲だったのは確かだけれど、やりがいはたっぷり。

「魔法の笛」と「つれない人」はキャラ設定がわかったので、表現はやりやすい。アジアはキャラがいないので、幻想の国アジアを想像している誰か、を設定しないといけない。

ベルナック先生の本で「つれない人」の主人公は女の子だという書いてあったけれど、詩を書いたトリスタン・クリングゾルはちょっとホモっ気があった人で、「jeune étranger(若い異邦人)」はその詩集の中での仮想の思いびと、的位置付けらしく、私はやっぱり、声をかける人は男だと思う。だいたいそんな女の子みたいな美貌の、物腰やわらかな青年に声をかけるのに、あんなに密やかなPPで話しかける女はいない。ここはやっぱり、古き良きやおい系耽美物を想像するのがいい。「魔法の笛」の主人公はレディコミだけど。

シェエラザードとキラキラと子犬を苦労して歌っていたら、湖上の美人がだんだん楽になってきた。ということは筋肉がちゃんと戻ってきたんだと思う。ドラマティックな中低音と、華やかな高音系アジリタを同時にやっているのだから、当然だけれど、嬉しい。

、、、アジアの難しさについて語ったけれど、今回の曲で一番問題なのは子犬のワルツ。すご〜く歌いにくい。歌の旋律を作ったのがピアニストだからか、とにかく嫌がらせのように声のコントロールがやりにくい。これはがんばれば登れる山じゃなくて、なんか新宿駅の人混みの中にいるみたい。でも、聞くぶんには、可愛くていいと思う。たぶん。

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