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サフォーのアリアについて語ってみる

といっても1幕のほうです。

Héro, Sur La Tour Solitaireというのが歌い出し。

女の子が塔にいて、彼氏くんが夜に海を泳いで彼女ちゃんに会いに来る、という話。なのですが、Héroってヒーローじゃないの?
と、答え。彼氏くんの名前はLeander、彼女ちゃんの名前はHero。ギリシア神話。彼氏くんは毎晩彼女の塔の灯りを目指して泳いできたけれど、ある冬の嵐の夜に灯りを見失って溺れてしまい、彼女ちゃんも塔から身を投げて死ぬ。

この歌では悲劇的結末までは歌われていなくて、月明かりに浮かび上がる彼氏くんのブロンドの髪とか、なかなか来なくてやきもきする彼女ちゃんとかの様子が歌われ、このような誠実な愛が人間を神の位置に引き上げ、死すべき運命から解き放たれる、という気高い愛情を歌い上げます。

これ、彼氏であるファオンの優柔不断ゆえに死を選ばざるをえなかったサフォー、死に際して、不滅の竪琴(音楽)さえも自分の心を慰められないと歌うサフォーへの伏線でもあります。

歌は3部構成、月明かりに照らされて泳ぐ彼氏くんの姿をゆったりとスリリングに描く、中音域中心の前半、泳ぎきって彼女ちゃんを抱きしめるまでをドラマティックに描く、レチとアジリタの中盤、愛の尊さと不死を堂々と歌い上げる、音域の広い後半。

この曲のポイントはとにかくストイック。こういう物語を、オリンピアの歌合戦で当代最高の詩人サフォーが歌い上げ、群衆が歓呼する、という説得力が必要。なので、最もドラマティックな場面でも、サフォー様的余裕が必要。

最高音はH(シ)で、低音はGis(ソ♯)。上を開かないで、下を押さないで、どっしり歌わなきゃいけないけど、録音を聴いてもまだまだギリギリ感が。余裕で歌わないと歌合戦勝てないぞ、サフォーちゃん。

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