« ロベルト・デヴェリュー | トップページ | ヴァニエ夫人とわたし »

というわけで女王様

前の記事で告知しましたが、3月にロベルト・デヴェリューをやります。

大半がアリアと二重唱で構成された作品で、ソプラノ、メゾ、テノール、バリトンの四キャラがほぼ同じぐらい見せ場がある。二時間ちょっとしかないし、あれ……じゃ、取り上げやすいじゃない? とはいかないのがこの作品の面白いところ。

まず、ストーリーが極めて政治的で、しかも地味。しかもメインの4名ともに地位と望みをすべて失うという悲惨な結末。サスペンス・ドラマ風。

ロベルトくん。エリザベッタの愛人なのだけれど、かなりのヘタレ。エリザベッタとは冷めたみたいだけれど、サラちゃんともどうも中途半端。いわゆるテノール。
サラちゃん。メゾには珍しいタイプのぶっ壊れ姫。ロベルトのことが好きだったのに、エリザベッタのせいでノッティンガムと政略結婚させられたと、生霊になりそうに恨み中。
ノッティンガムさん。ダメダメなロベルトも庇って、エリザベッタと対決する、とてもいい人。なのだけれど妻の裏切りにブチギレてしまう。かわいそうで美味しいキャラ。実にバリトン。
エリザベッタ様。親友と重臣に裏切られ、愛人を処刑することになってしまう、孤独な女王様。威厳があるというか、怒り方が冷酷。

でもって、様式がちょっとベルカントっぽくない。初演は1838年で、ドニゼッティ晩年の作品ではあるのだけれど、まだヴェルディが出てくる前でもある。のに、なんかヴェリズモっぽい香りがする。ノルマのように、様式の中でのドラマティックではなくて、もう声割ってくださいと言わんばかりの(ほんとに割っちゃダメだけど)重い音型。クライマックスはブレスも短い。それでいて、アジリタはちゃんとしたのがあちこちに出てくる。

グルベロ−ヴァ様が晩年にやったので有名だけれど、これは発声上参考にできない。テオドッシューのを聞いているのですが、ちょーっといろいろ無理があるような…。カラス様か、ワーグナーに行く前のシェリル・スチューダーとかがやっててくれるとよかったのですが、ないので、だいぶ自己流を作らないと。

初演はGiuseppina Ronzi de Begnis。私がよく言う「変態ソプラノ」の仲間なので、容赦なく低音を鳴らすところがあります。ソプラノ・スフォガートとか言われることもあるらしい。

Wikipediaよりsoprano sfogato。

生来または訓練によって、コロラトゥーラ・ソプラノの音域を得たコントラルト。ソプラノ・アッソルータともいう。
役:メデア(ケルビーニ)、アルミーダ(ロッシーニ)、ノルマ(ベッリーニ)、アミーナ(ベッリーニ=夢遊病)、ロベルト・デヴェリュー(エリザベッタ)、ジェンマ・ディ・ヴェルジー(ドニゼッティ)、アビガイッレ(ヴェルディ=ナブッコ)、レディ・マクベス(ヴェルディ=マクベス)、ライザ(ウェーバー=オベロン)
歌手:イザベッラ・コルブラン、ジュディッタ・パスタ、マリア・マリブラン、Giuseppina Ronzi de Begnis, Wilhelmine Schröder-Devrient(オランダ人のセンタ、タンホイザーのヴェヌス、ローエングリンのエルザを初演), Mary Anne Paton (Mrs. Wood), Giuseppina Strepponi(ヴェルディの二人目の奥さん), Emma Calvé, Marianne Brandt, Félia Litvinne、Pauline Viardot。…でもってカラス様。

「限界のないソプラノ」とか「完全なソプラノ」とか、んまあ、要するに褒め言葉の一種なのですが、だいたい初演にこういう名前が出てきたら、なんだかちょっととんでもない役なんだな、と思えばいいっかな。ベルカントの人からワーグナーソプラノまで入っているのがご愛嬌。Sibyl Sanderson(タイース&エスクラルモンド)とか、フラオペ系の変態さんたちと役も入れて欲しい。

|

« ロベルト・デヴェリュー | トップページ | ヴァニエ夫人とわたし »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« ロベルト・デヴェリュー | トップページ | ヴァニエ夫人とわたし »