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ガラコンおしまい

とりあえずこっちから。

ガラコンのキャスティング、選曲は大塚さんと私がやったので、どうしてもセリア中心。シャモニー、アラベッラ、カヴァレリア、愛妙、トロヴァトーレと、時間は50分ないぐらいだったのだけれど、ずっしりすぎるプログラム。でもってガラコンといいながら、大塚さんががっつり立ちを付けてくださったので、見ごたえも十分。お稽古少なくて大変だったけれど、みんないいところが出てよかった。

シャモニー。これは演技はほどんどなし。座ってて立って見合って終わるだけ。音楽はずっと三度でとても綺麗な曲。が、本来リリコ・レッジェーロでいいリンダを私が、ズボン役のピエロットをコントラルトに近い高橋未来子ちゃんが歌ったので、とっても分厚い三度。練習時間もあまりとれなかったので、ヒヤヒヤだったけれど未来子ちゃんががんばって合わせてくれたのでなんとかなった。やっぱりいい曲。小品だし、もっと歌われてもいいと思う。

アラベッラ。なんか相変わらずどこで始まってどこで終わるのかよーわからん曲。ドイツ語だし。立ちはあまりないけれど、音楽が合わせるの大変そうで、大塚さんはお稽古、歌いながらいつも振ってらした。アラベッラは私が歌ってもいい役で、歌ってみたら楽しいのかもしれないけれど、歌いたくなったかと言われると微妙。なんか大変そうなんだもん。

カヴァレリア。ローラが出て行った後半だけだったけれど、未来子ちゃんのサントゥッツァは厚みがあって、演技も迫力があってとってもいい。富澤さんのトゥリッドゥは昭和な感じ。二人とも一本やっているので、危な気もない。

愛の妙薬。加藤花南ちゃんのアディーナぴったり。声がリリックなので学校ではもっと重い役が来てしまうらしいけれど、明るくて積極的な雰囲気でキャラもバッチリだし、ブッファとかスーブレットは最低でもこのぐらいの重さがほしい。高橋くんのドゥルカマーラは、ん、もともと持ち役の大塚さんにしごかれてたな。

トロヴァトーレ。三重唱は、レオノーラちゃんが最初に舞台にいます。ここだけ二階のお部屋の中でもあり、ルーナの妄想の中のレオノーラちゃんでもある感じ。まあ動く背景画みたいなもの(座っていればいいから、としか言われなかったけどけっこうヤヤコシイ)。なので、すぐそこで自分のことを歌っているのをいっさい聞いちゃいけない。恋人を待ちながらうとうとしていたり、マンリーコのキタラと歌声にうっとりしたり(これも聞こえてくる方向はあさって)。でもって、立ち上がって、本来階段を下りるところを省略して、角度も変わって、マンリーコがいらしたわ!って、間違えてルーナのところに行って、一方的にべたべたする。ルーナはレオノーラが自分に気がないとわかっているし(告白に来たハズなんだけど…玉砕覚悟?)、バレちゃいけないという気持ちと、でも惚れた女が手の中にあってドキドキしないわけもない。たぶん。
ここ難しかった…。オペラの中で無抵抗のオトコをもてあそぶシーンってあんまり記憶にないもの。顔見ちゃいけないし、後ろ向いてもいけないし、ゼンゼン型が決まんないし、色っぽくならないし。……けっこうがんばった。身長差がやりやすかったのはラッキー。
次、マンリーコのところに跪いて言い訳してらぶらぶいちゃいちゃして、ジェラって怒っているルーナ様に怖がって……あとはずーっとマンリーコな富澤さんに護ってもらっているだけ。まあこの曲は基本レオノーラちゃんは添え物。
この曲の最後の部分で、通例カットされるところがあるのですが、大塚さんのご希望で開く(カットしない)ことに。やると思っていなかったのもあって和音の構成がわかりにくい。ルーナと二度でぶつかって解消してを何度かやるのですが、場所も遠いし二度を確認している余裕はなく、ただ自分の音を守っていると、響きがうぉんうぉんしてなんかすごいことになっている感じ。確かにカッコいいし、ヴェルディでこういうのアリなんだ、っていう感じ。でも通例カットな理由も、大塚さんがやりたかった理由もわかる感じ。声が厚くないとこの和音進行もたないもん。
最後はhigh-Dのロングトーンで、二人はにらみ合っていて(決闘に行く)、レオノーラは気絶した……かな、のところでおしまい。だいたいオペラでは決闘しようっていうオトコどもはオンナの止めるのはまったくきいてくれない。私ですらもう四回目だ。ぷんぷん。

二重唱も、レオノーラちゃんが最初に舞台にいます。そしてルーナが最初陰歌です(ずるい)。こんどは聞いていてよくて、自分の恋人を処刑とか言っているのに動揺したり、ルーナが入ってくるのに隠れたり、意を決して出てきたり。……普通はここからスタートなんだけど。あとはだいたい普通。レオノーラはルーナに懇願するのですが、lo salvaの1回目までは、敬虔なカトリックの彼女にとって、助命が聞き入れられて当然、慈悲は義務、と思っているところがあって(美しいワタクシが頼んでいるのだしという高慢モードもあり)、lo salvaの3回目で初めてルーナに縋りに行く感じ。でも掴まれてポイってされるかんじ。ポイって。
後半、呼び止めたり、微妙な嘘をついたり、毒を飲んだり、このへんもずっと普通。毒を飲んだ後の台詞は、最初自分でも怖すぎたので、つらい悲しい(死ぬので)という感情を混ぜてみることにしました。Vivra!からはレオノーラちゃんはもうイっちゃってて自分の世界で、ルーナに抱かれててもくたっとなすがまま、というかアウトオブ感情。という狂乱っぽいのは得意。ここの形は毎回毎回、当日の場当たりと返しまで変わったので、ちょっとややこしかったけれど、とりあえず何も考えずに指先で出されるのに従っていればいい……っていうのもけっこう得意。
でもって、Salvo tu sei, tu sei per meのところ。シンコペーションの下降音型、特に二回目、ノンビブラートの細い音で、ほとんど力を使わず、息の流れと、相手の声の響きと三度のバランスだけをつかって降りてくる。三重唱の分厚い二度と対照的に、三度の繊細な響きのバランスを作る部分。さすがに体が離れていると怖いし、声が合っていないとできないアクロバティックなことなので、とても楽しかった。前にルチーアのエドガルドとの二重唱でもそれに近いことをしたけれど、私はそういう相手の声にふわっととけ込むような感触が、重唱で一番好き。当日直前にやらかして動揺していたのだけれど、二回目は思い切ってがさっと支えを外してみた。
というのは歌い方の話で、演技のほうはAndiam!のところだけ、ここにルーナがいるのを思い出して、また忘れて……というか最後のユニゾンは音楽優先だけれど。最後はレオノーラは毒が効くまでに時間がないから早くマンリーコを助けに行きたい、ルーナはレオノーラの気持ちを確かめたい(ていうか抱きたい)、というスリリングなところでおしまい。最初にらみ合って終わっていたのだけれど、ズイってくるのを受けるのに私の膝がもたなかったりして、体を取られて終わっているので、余計にスリリングな形になったような…。

レオノーラはドラマティコ・ダジリタで十分な役なのだけれど、今回は大塚さんとだし、ほんとはもっとドラマティコ寄りに作りたかった。でもさすがに分量的にも体力的にも、当日はそこまで体を酷使することができなくて、ノルマとのバランスをとった声になってしまったのが、ちょっと残念。もちろん、違う方がルーナだったら、テンポも発声もまったく違う感じに作ると思う。でも私の中のトロヴァトーレは、重厚で硬質できっちり様式的で、その縛りのなかではち切れそうにドラマティック……というのが理想。そんなトロヴァトーレは滅多に聞けないし、滅多に歌えない。重唱だけだけれど、お稽古も本番もとても楽しかった。

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