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ノルマとドラマティコ・ダジリタ

本番はもう明日。

ノルマをほぼ全曲歌ってみて、いちばん思ったのは、声の使い分けがとても多いこと。
ふだん、レッジェーロの役、リリコの役、スピントの役、メゾの役、コントラルトの役として使い分けている声をガラガラポンしたかんじ。それがドラマティコ・ダジリタだということだと思う。

でも逆にいわゆる「ドラマティコ」の声は案外いらない。この時代の様式にないものだから。
今回のトロヴァトーレは、ヴェルディだし、基本がワなんとかさん仕様なルーナ様に合わせて、ドラマティコ寄りの発声で作っているけれど、そこまでの重さはノルマにはいらない。だからけっこう軽く感じます。

なので下の声も純粋なペット(胸)の声(いわゆる胸声ではないけど)を使うのは稀で、ミックスボイスの処理のほうが多い感じ。ちょっと下のチェンジに苦労してるけれど、カラス様だってチェンジあるもんね。

それでもやっぱり、高音域と中低音域が完全に対等であるのは必要で、高音でも低音でも同じように強いアクセントの処理ができなきゃいけない。ここは厄介なはずだけれど、私は中音域の厚みが持ち味だから、逆に高音域が薄っぺらくならないように、という感じ。ヴァリエーションで上げるのはたぶんhigh-Esまで。

そういう意味でいちばん難しい曲は、ポッリオーネとの二重唱。清教徒のおじさま(ジョルジョ)とリッカルドの二重唱に似ている曲。バスバリトンのおじさまの脅迫と、ソプラノのノルマちゃんの脅迫。うん、もうソプラノやめるしかないよね。でもこの曲の最後はヴァリエーションのhigh-Es。脅迫し、でも愛してもいて、脆さもあり、冷酷になり、かつ懐の深さもあり、ものすごーく冷静に強く怒ってもいる。ポッリオーネというどうしようもない最低男に恋してしまったノルマちゃんの葛藤がコントラルトからソプラノまでの広い色で表現されている曲。

って、ドラマティコの表現をいっしょうけんめいやっていると不意にあらわれるのが2幕フィナーレのとてもリリックな、ベッリーニ節の部分。どれだけドラマティコでございますってガンガン歌っていても、最後のとても清浄で澄んだところの声がないと曲が終わらない。

この曲の初演のジュディッタ・パスタ様は、ノルマという役は彼女の声のために書かれた役なのですが、私のいちばん憧れの歌手。コルブラン様より、カラス様より。幸い、かろうじて面影を辿れるだけの声を、天と大切な方たちからもらったのだから、がんばってみたいと思います。

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