« 白峯と響きの謎 | トップページ | ノルマとドラマティコ・ダジリタ »

ガラの遠しと違う声

シャモニーとトロヴァトーレ。

先に歌うのはシャモニーです。とにかく三度だけの曲で、役もリリコ・レッジェーロなのでちょちょいのちょい、と言いたいのですが、三度のカデンツの音符の数を忘れそうになります。相手役の高橋未来子ちゃんは、昔から低音域の厚みが素晴らしかったけれど、メゾの高音まで出るようになって、声も破壊力抜群。ドラマティック・メゾという感じ。なので美しいのもあるけれど、分厚い三度になっています。こういう曲大好き。演技もほとんどないので、余計なことを考えなくていいし。

次に歌うのは第一部の最後、トロヴァトーレ。ただいまドラマティコ・ダジリタな私のレオノーラと、バスバリトンでやっぱりドラマティックな声の大塚博章さん。二人とも芯が硬くて暗めの声なので、やっぱり、こんなのこの曲では普通(特に日本では)ないんじゃないかな、的な重い感じ。マンリーコの富澤祥行さんは比較的リリックで柔らかいタイプのテノールなので、お貴族様な二人と、庶民育ちのマンリーコというキャラは立っている感じがします。

トロヴァトーレの二重唱では、いくつか「別の声」を使うところがあります。私だけかもしれないけど。
一つ目は「svenami svenami ti beve il sangue mio」というところのアクセントの処理。この曲は基本的に下降音型を、中音のほうが強くなるように歌うほうがいいと思います。
二つ目はルーナの裏で歌う「Mi svena…」のところ。この曲でここだけは芯を外した声でオブリガートにするのですが、次の「salva deh! salva」の下降音型のdeh!で戻します。
三つ目が「Dischiudimi la via fra quelle mira / Ch'ei m'oda che la vittima fugga」は逆に芯だけの強いPPで喋りに近く。「lo giuro a Dio」はこの曲で一番分厚い響きの声を。次の「l'anima tutta mi vede」は下をペット(胸)の声に切り替え。
あと、「m'avrai ma fredda esanime spoglia」は純粋なペットの声。次の最初の「Vivra!」は明るく澄んだ、リリコ・レッジェーロで使うような声。でもすぐ戻す感じ。ここは下のCまでスタッカートというかマルカートで降りられないと歌っている意味がない感じ。
一番面白いと思うところは、ルーナと重なる「Tu mia tu mia / Salvo tu sei」のところのアクセント付き下降音型。ここはそもそもPで始まるのですが、Bから下がる音型は芯だけでとって腹筋で放り投げた音でまた下降クレシェンド。さらにtu sei per meのフレーズ終りまで音高に関わらずクレシェンド。なんというか曲芸みたいな声の使い方。
最後のルーナとのユニゾンの「Vivra! Contende il giubilo」はもうずっしり分厚い重い声のFF。ユニゾンはばっちりはまれば最高に気持ちがいいところ。

ほんとこの曲好きだなあ。

|

« 白峯と響きの謎 | トップページ | ノルマとドラマティコ・ダジリタ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 白峯と響きの謎 | トップページ | ノルマとドラマティコ・ダジリタ »