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あなたはどこに行きたいの?

自分の声だけは自分で聞けないの。

ルチーアを歌ったぐらいの頃、自分自身の声のイメージは、ふわふわした優しい響きで、ちょっと暗くてちょっと固い声、でした。奈良の夕空のようなモーヴの色。声種としては、いわゆるリリコ・レッジェーロよりは少し中音が強い、ぐらいだったはず。

清教徒のエルヴィーラを歌ったぐらいの頃は、リリック・コロラトゥーラの役だったにもかかわらず、声にどんどんドラマティックの要素が入ってきて、それを消しながら歌っていたのですが、終わってみたらトロヴァトーレがいちばんしっくりくる、ドランマティコ・ダジリタ見習いだったと思います。この頃から高音の発声を、レッジェーロ系からドランマティコ系のものに調整しはじめ、ちょっと試行錯誤。

その後、ディノーラは、いわゆるコロラトゥーラの役だったのですが、どちらかというとアジリタよりも中音域のリリックな美しさを安定して褒めていただけるようになった時期。リリコ系の役を奨められることが多くなった一方、中音域とアジリタができる役、としてロッシーニのコルブランもの、湖上とオテッロに取り組んで、あ、これ向いてるなと思ったあたり。

で、今回フィガロのコンテッサを歌っていた時は、スピントのないリリコの役で、ふわふわ歌ってたのに、声がどんどんスピント寄りに振れていって。終わってみたら、あれ、私もしかしてダジリタのない、強いドランマティコにも挑戦できるんじゃ? となって今に至る。もうあんまりモーヴな感じはしない。彩度の低い、ちょっと赤みの紫…までは同じだけれど、それに鈍いメタリックなグレイをかけたような色。

……なんかおかしい。やった役とだいたい真反対のところに振れてるって、どういうことなのかしら。

先日、ワーグナーは歌わないの?って言っていただいたのですが、あのへん挑戦したら逆に、ツェルビネッタとかのハイソプラノ系が歌いやすくなったり……しそうだな、私。この声、いったいどこに行きたがってるのかしら。

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