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歌手の楽しみ方

ポテンシャルを愛でるということ。

一度いいものを体験すると、それ以下のものの価値がなくなってしまう。というのはお料理でもワインでも、ホテルでも、サービス全般そういうところがあるのですが。歌手もいちどいい方を聞いてしまうと、減点法になってしまいがち。

だから来日公演に数万円出すけど、日本人の公演は聞かない、という人が多いわけで。特に手軽に最高の歌手の音源を聞ける現代、そういうブランド化が起こるのも理解できるわけです。

でも完成していないものの価値を売る、というビジネスモデルも、なんちゃら48とか、野球とか、成立しているわけで。

歌手を聞いて、完成された方というのは当然素晴らしいし、声の盛りを過ぎていても歌いこなしに感動することもよくあります。次に、いいんだけど何かつっかえていて、いつそれを越えてくださるのかしらという方もおいでです。方向はいいけど体ができていない、でもそのまま真っすぐ進んでいけば、たぶんこういうふうな声にできあがっていくんだろうなあ、と、そういう方は、とても面白い。お願いだから脇道に迷い込まないでねとドキドキするし、半年一年後に聞いて、ああ、こうなってくれたらいいのに!と思っていた方向にできあがってきているのを聞くと、ものすごくわくわくします。

もちろん、それなりにできてるけど先が見えないとか、もう方向がゼンゼン違っているとか、どこかねじれてしまっていてよっぽどドラスティックなことがないと本来の声が聞けないんだろうなあと思う方も、もう今にも未来にも興味がなくて裸足で逃げ出したくなるような方もいらっしゃるのは、そうなのですが。

ということで、「育成型」オペラ歌手の楽しみ方、というのをご提案してみるのです。ちなみに、声ができてくるのは30歳を超えてからで、できあがってくるのは40代です。役の年齢が14歳だろうが、何だろうか、そういうものです。

ところで、歌手が超えなければいけないもの、というのは、技術とか筋肉とか様式とかいろいろあるのですが、いちばんの「壁」は性格と、いろんなコンプレックスだと思う昨今。でもって、必須なのは感性と耳、あってほしいのが知性と教養。でもそれは客席側でも同じことで、試されているのは自分、でもあるわけです。

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