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湖上の美人

ジョイス・ディドナートが好きです。

ディドナートをはじめて聞いたのは、ブログでも書きましたが、ドン・ジョヴァンニをやっていた時。すばらしいエルヴィーラでした。彼女はいちおうメゾらしいのですが、最近、ドニゼッティの女王様ものを歌ったり、ソプラノのものも幾つかやってくださいます。深い、ほっとする、中性的な声で、表現が丁寧で、解釈が斬新で、アジリタが滑らかで、声域はすばらしく広くて、ロッシーニが得意で、演技がうまくて美人でお茶目。いつか生で聞きたいです。どうして来日してくださらないのかなあ。

たとえばセミラーミデなんか、グルベローヴァ、サザーランド、それに私の好きなシェリル・スチューダーとかも歌っているのですが、グルベローヴァ様はやっぱり東欧系のスピントの強さ、サザーランドは機械のように硬質な感じ(役や時期にもよりますが)。この二人は高音系ソプラノなので、アジリタはクリアしているけれど、やっぱり初演の姿じゃない。スチューダーもすばらしいけれど、どちらかというとドイツ系のコロラトゥーラ。ディドナートは、アジリタの精度こそこの中では紙一枚下に聞こえるかもしれないけれど、イタリアベルカントの精華、ソプラノとメゾアルトの境が曖昧だったころの本来のセミラーミデだと思います。

なんというか…下のほうの支え方が違う。だから縦方向の声の幅が違う。縦方向の幅を狭くしたら、そりゃアジリタも高音も楽だし、テクニックも凄く聞こえる(しかも高音がさらに高く聞こえる)けれど、安定感や。優美な表現力や、人をうっとりさせるような声自体の魅力は少なくなってしまう。私はディドナートみたいな声の支え方をしたい(声のベースラインはたぶん2音ぐらい違うけれど)。今アクート域の支えがちょっと変わってしまっている(安全策で逃げてたり…)けれど、少なくてもC,Dまで、できればE,Fまで同じように上げられるようになりたい。

そのディドナートの当たり役の1つが、やっぱりロッシーニの湖上の美人。このアリアをちょっと歌ってみようかな〜と思っています。エレナはソプラノの役ですが、音域はかなり下に広い。相手役がハイテノールで、アンサンブルの中の位置は清教徒のエルヴィーラに似ています。私はこういうタイプの役が好き。

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