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清教徒ナポリ版とまにゅすくりぷと

普通の総譜が欲しかったのですが。

中古で清教徒の総譜を買った(タイトル買い)ら、ベッリーニのオリジナルの直筆手稿の複写版、ナポリ版付き……って喜んでいいのか悪いのか。とりあえず編集の人による序文を解読。

清教徒には初演のパリ版(といってもイタリア語)と、改版のナポリ版があります。パリ版は、メインキャストがみんなすごい歌手(パリのイタリア劇場が、今でいうメトロポリタン・オペラみたいな感じで、本場よりお金と人材があった)。ナポリ版はエルヴィーラがメゾ(マリア・マリブラン)で、リッカルドがテノール(いいバリトンがいなかったって!)。アルトゥーロはハイテノールじゃなかった。本来ナポリで新作を書くはずだったのを使い回したから。。。

・おじさま(ジョルジョ)とリッカルドの二重唱があんまりかっこ良くできちゃったので、エルヴィーラの狂乱を先に持ってきて、二重唱で2幕を〆めた(本来は2、3幕が2幕だった)。確かに幕を閉めたくなる曲だけど、このおかげでエルヴィーラはよりちっちゃくなった。でもパリ版では、政治的な都合でこの曲は上演できなかった。それでもこの曲を気に入ってたベッリーニは送りつけた(リッカルドもバリトンのままで)。

・ナポリ版では、1幕フィナーレのSoldati correteは最初、ジョルジョとヴァルトン(おとうさま)で歌われる。これはちょっと聞いてみたい。今の版だとおとうさまの存在がとっても微妙だし…。今の版でも、ヴァルトンをジョルジョの下にもう1声別に書いてほしかったなあ。なんでどバスのおとうさまが、バスバリのおじさまじゃなくて、ハイバリのリッカルドと同じとこ歌ってるんだろう。……と思ってパリ版の手書きスコアをよく見たら、Soldati correteはGiorgio e Valton(綴りはWalton)って書いてある! 読み返すと、この校訂者さんも、Despite the readings of modern editions, the phrase "Soldati...correte" was written for Giorgio and Walton, NOT for Riccardo and Giorgio.って! で、ここの手書き譜を素直に読むと、おとうさまはこの後、おじさまと同じところを歌うことになってる。確かに歌詞もおとうさまの歌う歌詞じゃない。……ここは直してもらおう。。。

・ナポリ版はマリブラン(メゾ・ソプラノ)のために書かれたけど、マリブランはベッリーニの1年後に亡くなって、実際には歌ってない。

・ナポリ版のマリブラン用Qui la voceは、短3度低い。旋律の変化は少し。

・Ah! sento, o mio bell'angeloは、初演のパリ版にはない。ベッリーニはこれをアルトゥーロとエルヴィーラの二重唱(だいぶおっとり)として書きかけたけれど、やめちゃった(IMSLPの手稿もよく見ると途中までだった)。ダレるものなあ。

・パリ版の3フィナ、アルトゥーロの聞かせどころ、Credeasi, misera! は、大プリマ様であるマリブランのためにエルヴィーラのソロになって、Ah! sento, o mio bell'angeloもエルヴィーラのカバレッタになった。アルトゥーロ、形無し。

ところで、縁あって私の手元にきたこのスコア、Garland社のEarly romantic operaというシリーズで、ベッリーニ、ロッシーニ、マイアベーア、ドニゼッティとパリのグランドオペラ、というサブタイトル。マイアベーアさんがここに入っているのが、私としては新鮮。

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