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ルチーアとエルヴィーラ

二人の狂乱ヒロインの違いは……。風邪をひいて、歌わないほうがよさそうなので頭の整理。

ルチーアと清教徒は、清教徒のほうが少し前にできて、ドニゼッティはそれを見てルチーアを書いたとされています。一方的な競作だったのでしょうか。なるほど、キャラクターのパーツは似ていて。

作品  : ルチア  清教徒
お姫様 : ソプラノ ソプラノ
家長  : ハイバリ バス
保護者 : バスバリ バスバリ
恋人  : テノール テノール
恋敵  : テノール ハイバリ
エンド : デッド  ハッピー

こういう配置です。まあまず、エンリーコがハイバリトンだったのが、ルチーアの間違いだったとわかります。なぜかって、ハイバリトンは報われないのがナンボのかわいそう属性だからです。恋敵がテノール(しかもハイテノール)だったのもいけませんでした。ハイバリトンかバリトンだったら、エドガルドが勝ったでしょうし、バスバリトンかバスだったら、また別の展開だったでしょう。実の父だったとか、すごく偉い人だったとか…。

で、もう1つわかりやすい比較。なぜこういう声の配置だったのかというと…。

作品  : ルチア  清教徒
家長  : 貧乏   お金持ち
恋人  : 貧乏   お金持ち
恋敵  : お金持ち やや落ち
エンド : デッド  ハッピー

はい、世の中そんなものです。エドガルドだって、金と地位と名誉があるなら、あんなにカリカリ怒りっぽくなかったでしょうし、エンリーコだって妹を犠牲にしようなんて思わなかったでしょう。清教徒のほうは、アルトゥーロとの結婚をパパ・ヴァルトンが許したのは、(プロットが適当だったという可能性を無視すれば)、主義主張よりも戦後協力を優先したくなるほどの大物どうしだったと考えるのが妥当です。奇しくも両ハイテノールの名前が同じアルトゥーロですが、ハイテノールには、良くも悪しくも、ハイパー王子様属性(お金持ち、優しい、考えなし、衝動的)がついているのです。

結果。

作品  : ルチア       清教徒
お姫様 : ドラマティックコロ リリックコロ

これがヴェルディだったら、ここから「コロ(ラトゥーラ)」の文字が消えます。リリックに付いているのは愛され属性(受動的)。ドラマティックに付いているのは意志の強さ(能動的)です。

というわけで、ルチーアの狂乱というのは、不幸に育った没落貴族の娘が、唯一の愛を捨て(させられ)、理性を優先して政略結婚に臨んだ結果、感情が壊れた、という崩壊型の狂乱。エルヴィーラの狂乱は、何一つ不自由なく愛されて育った娘が、「愛されない」状態を受け入れられない、逃避型の狂乱。ゼンゼン違います。見事に正反対に違うのですが……ぼーっと歌っているとつい混じってしまう……。

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