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ロングトーンについて熱く語ってみる

ルチーアとエドガルドの二重唱の中で、一番好きだった音、というので、他の歌い手さんに熱弁してみたら、さっぱり通じず。

一番好きだったのは、Verrano a te/meがユニゾンになる前のFの音。この音は、あえてテノールさんと違う歌い方をしました。4小節ラレンランドしながら伸ばすのですが、そーっと入って、相手の声を芯に少しずつキラキラで包んでいって、音量を変えない範囲でキラキラしつくしたところで降りる。このキラキラさせていくのが、すごく楽しいし、ルチーアちゃん的だと思うのです。彼女はエドガルドにけっこうおびえているのですが、いったん愛されモードになると、現実から妄想まで突き抜けてしまう。この二人の恋愛は、最初から最後までお互いに妄想しかありません。しかもどことなく共依存です。そういう力関係がこの一音で出せれば。でもこの「遊び」は、たまたまそういう声質の組み合わせだからできたのかもしれません。私の声はやや硬め、なのですが、しっかり硬めで水晶のような感触のエドガルドさんに比べると、かなりぽわぽわしているのです。

この二重唱にはもう1つロングトーンがあります。エドガルドが怒っていて、ルチーアちゃんがそれを慰め、私のため、愛のためにこらえてCedi al l'amor、という場面の最後。ルチーアがG、エドガルドがHの三度。ここも入る前からラレンランドがかかっていて、最後はピアノ伴奏にカランドの指定があります。この音は決してキラキラさせてはいけなくて、ほんとうに何もせず、息も出しているのか出していないのかというところでそーっと(ぼーっと)3小節伸ばし続け、最後にRを揃えます。二重唱をやってみて、聞いてみて思ったのは、この音はものすごく「愛」なのです。この何とも言えない、幻のように美しく静かに続いていく感じが、エドガルドがルチーアの懇請に負けて、愛に戻ったということなのです。だから次、突然に音楽が変わって、夫婦になることを誓うことができる。こんな発見があるのが、重唱の楽しいところ。Well-trainedな方と組ませていただいて、嬉しいところです。

次は3月に同じ方と同じ曲を歌わせていただくのですが、きっとまた新しい発見があるんじゃないかな、ととても楽しみです。サロンではけっこうドラマティックなルチーアになっちゃったので、もうちょっと落ち着いて……できるかなあ。

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