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プラハ1991年のドン・ジョバンニ

なンでだかわからないけれど、元からうちにあったDVD。初演劇場の気合が入ったモーツアルトの没後200年記念公演。もちろん楽譜はプラハ版。指揮はマッケラス。ドン・ジョバンニって喜劇だったな、と再確認。

映像はプラハの町並みから始まって、スタヴォフスケー劇場の様子、大統領を迎えてのファンファーレとご当地色満載。なんかこのオケの音、好きかも。
序曲の間にジョバンニがリンゴ食べてる。吸血鬼のような美男子(オペラ基準)。演出は時代に合ったものだけれど、いろいろ工夫はされているらしい。
一幕。レポレッロ、クマさん系のおじさんだけどいい感じ。声もいい。アンナと出てきたジョバンニ、マスクなしで別れ話がこじれた感じだけどはっきりしない。服は着てくださいね、おなかがみっともないです。はい。騎士長登場。剣でちゃんと立ち回り。騎士長殺した後のレチは全部喋り。
アンナ、おばさんっぽいけど響きが軽くていい感じ。衣装は黒の寝間着っぽいもの。オッターヴィオ、やや重いテノールでこもり気味だけれど、柔らかい声でまあいい容姿だからいいっか。
エルヴィーラ、真っ赤でド派手なドレスの強烈なオバサン。声もキンキンした癖があって、ブッファ満開。マルチェリーナやりそうな感じ。カバーに妖艶って書いてあるのは詐欺。まあ初演のエルヴィーラもイマイチだったらしいし、忠実か。プラハ版だからMi tradiのアリアないし。
小アリア終わりのセッコ、ジョバンニに抱きつくわ叩くわやりたい放題。吉本調でかなり笑える。カタログの歌も、終始エルヴィーラをからかって、最後にエルヴィーラに平手を食らう。このオバサン、これはこれでたぶん上手いのだ。
ツェルリーナ、まさにスーブレットな声。マゼット、バリトンの若々しい声でいい男。ジョバンニのツェルリーナ誘惑シーンはまさに歯が浮くよう。ジョバンニの声はそんなに良くはないけれどバリトンの甘く柔らかい声で、容姿とエロっぽさ、貴族的なワガママっぽさは適役。初演のジョバンニもこんな感じだったのかな。大きなアリアないし。
四重唱、アンナ組とジョバンニが黒っぽい服なのに、エルヴィーラだけ赤で、彼女だけブッファ。ジョバンニも完全に持て余してる。ジョバンニの最後のAddioは気取った声じゃなくて、あ、その声でアンナが気がついたんだという感じ。その後の長いアンナ組のシリアスシーンも、ブッファとメリハリが効いていて鬱陶しくない。アンナ、確かに夜の女王歌いそうな声。Della sua paceなし。ないほうがいいと思う。シャンパンの歌、すごく速い。次のジョバンニ、ツェルリーナ、マゼットの三重唱からヴェネチアの冬のお祭りのようなマスクを付けている。アンナ、オッターヴィオ、エルヴィーラ組はすごい衣装。三重唱ブッファではないないものの、昨日聞いたのと違いすぎて面白い。
1幕フィナーレ、このジョバンニ、なんというか昔の京本政樹のコメディ役みたいで、美男子なのがいっそコメディになってる。

二幕、ここのレチのジョバンニは生き生きしてる。エルヴィーラ衣装そのまま。高低なく、エルヴィーラはジョバンニたちに背を向けて演技。三重唱のジョバンニのいい旋律、わざと嘘っぽく歌っているので旋律の美しさは台無しだけれど、ブッファとしては面白い。入れ替わったシーン、エルヴィーラが持ってきたロウソクをレポレッロがすぐ吹き消して真っ暗になったという演出。エルヴィーラの侍女、紗幕の向こうでお気替えシーン。上品なサービスショット。
マゼット登場。やっぱり帽子あったほうがいいなあ。バレバレすぎる。薬屋の歌の演技は上品でいい感じ。ツェルリーナはかなりしたたかだけれど。
六重唱、相変わらずエルヴィーラだけ赤くて浮いてる。レポレッロ、反省していて可愛い。後半すごくテンポ速い。アンナすごい。
オッターヴィオのアリアの間に、騎士長の石像が運ばれた。エルヴィーラのアリアがないので、すぐ石像シーン。騎士長の声はスピーカー。石像は石像だけれど、台詞や動きの部分は照明で処理。
アンナのアリアは、私がイメージするアンナにぴったり。このカップルもちゃんと結婚しそう。
エルヴィーラ乱入シーン、たぶんごく普通、台本どおりの演出。だと思ったらエルヴィーラが残って倒れ伏している。なんで? このシーンは石像はちゃんと騎士長の人。声は迫力なくてイマイチ。エルヴィーラは一回引っ込んでもう一度出てきた。暗いけれど、ジョバンニの地獄落ちの合唱は女声含むキャストも歌っていたっぽい? 地獄落ちはスッポンで石像と一緒に引っ込み。かと思ったらフィナーレの重唱の間に、作業着かスポーツウェアみたいなので出てきて、最初のリンゴを回収していった。これさえなければ普通だったのになあ。

結局、歌でよかったのはアンナ、レポレッロ、マゼット。演技はエルヴィーラとジョバンニとレポレッロ。でもプロダクションとしてはとても面白いし、ある意味、娯楽として正統派なのだと思う。変なの見すぎたから、矯正できてよかった。

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