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イタリアオペラの声種の話

昨日の日記に書いた「リリコ・レッジェーロ」というのは、ソプラノの声種の一つです。
自分のためにちょっと整理しておくと、まず女声はソプラノ、メッゾ・ソプラノ、コントラルト(アルト)に分かれます。ソプラノは「超」、メッゾは「中間」、コントラルトは「高い」という意味です。男性の声が基準だった頃の名残です。でも超、とか高いとか言っても、基本的には声域で声種が決まるわけではありません。声の色です。
ソプラノ…メゾでもアルトでもないのはとりあえずソプラノ。
メゾソプラノ…明るさの中に深みのある声。中年女性役と少年役、貴婦人役。High-Dまである場合も。
コントラルト…胸から響くような、深みのある落ち着いた声です。時にドスが効いています。年寄り役と男役。

ソプラノの分類は、声の色に加えて、高音域が魅力的か、中音域が魅力的か、というのと、激しい表現に向く声か、叙情的な声かなどいろんな基準が混在しています。人によって認識もさまざまなので、とりあえず私の理解しているところを…。

ソプラノ・レッジェーロ……軽やかで愛らしい声です。少女役、お姫様役、若い侍女役。中音域はほとんど必要とされません。特にハイソプラノは5線の上が勝負。High-Eはあたりまえ、High-Fも。
ソプラノ・リリコ・レッジェーロ……優しい甘やかな声です。お姫様役、貴婦人役。キャラの立った侍女役。中音域でも表現できる必要があります。High-Esは求められます。ベルカント、ヴェルティ前期までが主なレパートリー。
***軽やか↑壁↓深み***
ソプラノ・リリコ(プーロ・リリコ)……しっとりとした叙情的な声です。むしろ中音域で勝負します。でもソプラノならHigh-C,Dは出ないと役選びに苦労します。ヴェルディ後期からプッチーニ以降が主なレパートリー。
ソプラノ・リリコ・スピント……叙情的な深い声です。ほとんどメゾに近く聞こえます。
ソプラノ・ドランマティコ……下に書いてありますが、スピントより重いというわけではありません。ドラマティックな表現に向いた強さのある声、という意味で、音域が広くなることが多く、高音から中音まで満遍なく充実しているのが理想です。

コロラトゥーラ・ソプラノという呼称がありますが、一般的にはフィオリトゥーラの技術のあるソプラノ、という意味で、レッジェーロ、リリコ・レッジェーロについて言います。が、別にフィオリトゥーラの技術は軽めのソプラノの専売特許ではなくて、深みのある声でも、男性でも、作品の時代によっては必要です。フィオリトゥーラというのは花で飾るというような意味で、装飾音を延々と歌う技術。アジリタとも言われます。英語のアジリティです。ソプラノ・ドランマティコ・ダジリタというのは、上から下まで声が充実していてアジリタが得意、という完全なソプラノです。
また、コロラトゥーラというのは本来カラフルな、という意味で、声の色に幅があるという意味で使われることもあります。この場合はレッジェーロからリリコまで歌えるけれど、ドランマティコの強さはない声、かな。

日本人に多い声はソプラノ・レッジェーロ。可憐な表現が好きな日本人の趣味もあり、日本ではリリコ・レッジェーロの役もレッジェーロで歌われることが多くなり、リリコ・レッジェーロはリリコの役に降りていくことになります(声に無理をかけることになります)。プーロ(純粋な)・リリコ以下の声は、日本ではメゾ、アルトと並ぶ超貴重品。これは骨格や体型、声帯の形の問題で、たとえば韓国にはリリコ以下の強い声が多いそうです。
あと年齢とともにレパートリーを降ろして行く歌手も多くいます。一般的にはだんだん重くなって行くと言われますが、そうでない人もいてまちまちです。

延々と書いてきてなンですが、この声種というのは、別に作曲家がこのパターンで分けて指示しているものではなく(だいたい初演の歌手に合わせるものです)、自己紹介やキャスティングの便宜上のもので、時代によって違いますし、役が合うか合わないかは、スコア見て慎重に判断する必要があります。

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